記事の概要
橘玲の著書「もっと言ってはいけない」を読んだのでご紹介します。
こんな人におすすめの記事
- 統計を学んでる人
- データ分析を仕事にしてる人
読んだ媒体
電子書籍(kindle)で読みました。
表などのデータのある違うページを見たり、文章のあるページを見たりするので、紙の本の方が良かったかもしれません。
書評
全体を通しての感想
個人的な意見ですが、少し読み解いていくのが難しい印象です。
多少難しい言葉も使われてます。
なので僕は読むのに時間がかかりました。
しかし、書いてある内容は統計的事実や様々な根拠となる文献に基づいています。
難しいけど、書いてあることの信用度は高いと思える本でした。
統計やデータ分析を仕事にしてる人におすすめの本
統計やデータ分析系の仕事をしていて悩むのは統計的事実と経験的事実を混在して統計的事実を否定してくる人は一定数いるということです。
統計やデータ分析が分からないから仕事を頼んでいるので、仕方のないことでもありますが。
そんな悩みを持つ人が共感できる文章を橘さんが書いてくれてました。
少し煽りが入ってますね(笑)
1967年にオーストラリアでコクチョウ(ブラックスワン)が発見されたことで、「ハクチョウ=白い鳥」という常識は覆された。 こんなことは当たり前だというかもしれないが、世の中には統計的事実と定義を混同するひとがいる、それもものすごくたくさん。
中学校で習うようなことだろうが、統計的事実を経験的事実(外れ値)によって否定することはできない。
統計的事実と経験的事実を混在した人たちにデータ分析をした結果を報告すると一部の経験的事実に基づいてそんな報告はおかしいと主張してきます。
この本では統計的事実と経験的事実を混在していた例として紹介れていました。
『言ってはいけない』で、行動遺伝学によれば「一般知能(IQ)の遺伝率は 77%」と述べた。これは統計的事実で、「知能の分布のばらつきの約8割を遺伝で説明できる」という意味だ。 ところがこれに対して、「親が高卒なのに子どもは東大に入った」とか、「医者の知人の子どもは高校中退だ」などの(たまたま知っている)経験的事実を引き合いに出して、「この本に書いてあることはデタラメだ」と自信たっぷりに断言する批判があふれている。
「親が高卒なのに子どもは東大に入った」というものがありますが、これはただの事実です。
「親が高卒なのに子どもは東大に入った」というのは全ての親が高卒の子どもの中で本の一握りに過ぎません。
全体を見れば99.99%が親が高卒の子が東大に入っていないのいうのが統計的事実で残りの0.01%である親が高卒の子が東大に入ったというのは経験的事実(外れ値)に該当します。
※99.99%と0.01%の数値は例です。
統計データには外れ値は存在することが往々にしてあります。
親が高卒の子どもが10,000人いてその内の1人が東大に入ったことだけを見て知能は遺伝するという統計的事実を覆せますか?という話です。
もっと馴染みのる人の多そうなポケモンの色違いで例えてみます。
ポケモンの色違いも外れ値に該当します。
コダックは黄色だけど、ものすごくたまに出現する色違いの青色のコダックがいます。
これでコダックは黄色であるということは覆せますが、コダックの99%は黄色であるという統計的事実は覆せません。
相手が自分の書いた文章を理解してくれない!?
この本を読んで衝撃的だったのは次のデータです。
①日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない。 ②日本人の3分の1以上が小学校3~4年生の数的思考力しかない。 ③パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。 ④ 65 歳以下の日本の労働力人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。
そう考えると自分の書いた文章を相手が理解してくれないということは往々にしてあり得るということが分かりました。
(自分の文章が下手くそであるという前提は含みません(笑))
さらに衝撃なのはパソコン使えない人多すぎない!?という印象です。
文章がしっかり読めて、数的思考力があって、パソコン使えれば比較的レベルの高い人ということになりますね。
まとめ
「経験的事実で統計的事実に基づく主張を否定してくる人がいる。」
このことをわかりやすく表現してくれている本でした。
もちろん、きちんと理解してくれてる人もいますが、分からない人がいるのも事実なので、納得してもらえるように順を追って説明していくしかないなぁと感じました。
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